失敗しない調査・診断ツール選び
目的に応じたツールの選択
実際に調査を行なう際に、先ほど見た調査タイプを踏まえて、どのような調査票を用意するかを考えましょう。
調査のタイプによって一から独自に設計しなければならないものと、既存の調査・診断ツールをベースに多少のアレンジを加えることで提供できるものがあります。
原因追求型やストーリーテラー型等は目的や自組織の状況を踏まえて一から作ることになります。
手作りで一から作成する場合に大事なことは、「まず仮説ありき」ということと、「アンケート設計に関する基本的な留意点・スキルを踏まえる」ということにつきます。
一方で、現状把握、ベンチマーク、問題発見型の調査を行なう場合、既存の調査・診断ツール(※ここで言うツールとはシステムの事ではなく、調査項目・診断結果のパッケージの事を指しています。例えば弊社のサービス例では「ESベンチマーク・ジャパン」が該当します)を活用する事で、広い分野でもれなく現状を把握し、問題の発見に活かすことができます。
カバーされていない社内独自の問題意識については、既存ツールをベースに、追加設問を加えることで対応するというのが現実的です。
外部のツールを選ぶ視点
ここでは、自社・組織の目的に合った外部の調査・診断ツールをどのように選ぶかについて触れたいと思います。
世の中にはいくつかのこの種のアンケートツールがあります。
大きく分けると、「組織」を対象にしているものと、「個人」を対象としているものに分けることができます。
いずれも専門家が作成したそれらしい設問と、分析の軸や切り口に沿って結果が出てくるものになっています。
診断・分析の軸や項目を見ると、組織や人材に関連する言葉が並び、どれも理屈の通った立派な調査ツールに思えることでしょう。
そのような中で、ツールを選ぶには何を基準にすべきでしょうか?
私たちが重要だと思うのは以下の点です。
- 分析対象
- 分析の軸・切り口
- ベンチマーク性
- 柔軟な対応力
- アウトプットの有用性
- アウトプットのわかりやすさ
- サポート・サービス
- 価格水準
- 実施機関(本業は何屋か)
これらをベースに比較検討されるとよろしいかと思います。
特に重要な一般社員にも「わかりやすい」アウトプット
分析結果のアウトプットは重要です。
その中でも特に「アウトプットのわかりやすさ(感覚的にわかる、シンプルである、そして、問題意識にフィットする)」は、比較的軽視されがちですが、後々の事を考えると重要であると考えます。
それは、結果を従業員一人ひとりへフィードバックして活用することを前提とするからです。
一部の専門家達だけで結果を共有するのであれば話は別ですが、従業員へのフィードバックを前提に活用しようというのであれば、誰でもわかりやすいということが重要なポイントになります。
学術的にいくら緻密であっても、細かい分析結果が語られていても、わかりにくければ伝わりません。
さらに、直感的なわかりやすさと、緻密さ・詳細さが同居していると、なおよいでしょう。
詳しく見ようと思えばドリルダウンして見ることができる、そして、結果と原因をわけて把握できる事などが重要なポイントになります。