日本の正社員5,049名の意識調査<組織、人材編>

一般社員クラスで「今の仕事に対して、やりがいを感じている」割合は33%。また55%が「転職を考えることがある」

仕事のやりがいについて聞いたところ、部長以上のクラスでは、半数以上が今の仕事に対してやりがいを感じていると回答しました(「あてはまる」、「どちらかとえばあてはまる」の合計)。

職位が下がるほど、その割合は低下し、一般社員クラスでは33%でした。

今の仕事に対して、やりがいを感じている?

また、転職を考えることがあるかどうかについて聞いた結果、職位の高さと反比例する傾向にありました。

転職を考えることがある(「あてはまる」、「どちらかとえばあてはまる」の合計)という回答は、部長クラスで44%、一般社員クラスで最も高く55%でした。

あなたは転職を考えることがある?

職位の低い若年層程、仕事にやりがいを感じておらず、転職を考えるのではないかと推察されます。

「自分が成長している実感」が、一般社員クラスのモチベーションの向上にとって最も重要

モチベーションの向上に対して、どのような要素が重要であるかを分析した結果、多くの職位で、「達成感」、「成長実感」、「能力発揮」の三つが重要な要素としてあがりました。

重要な順に5つ要素を並べたのが以下の表です。
(組織、仕事、上司、環境、報酬等、約20の要素に関してモチベーションとの関係度の強さを分析)

実感とモチベーションの関係

一般社員クラスの場合、最も重要な要素が「成長実感」となり、それ以外の職位では「達成感」や「能力発揮」が該当しました。

一般社員クラスのモチベーション向上のためには、成長できる仕事や場を与えること、そして、自らの成長を実感させるフィードバックが重要であると考えられます。

多くの職場で、残業時間が長く、家庭や私生活を犠牲にしている人が多い

ワークライフバランスや働く人のストレスの状況について聞いた結果、43%が「職場で、家庭や私生活を犠牲にしている人が多い(あてはまる)」と回答しました。

労働時間の長さについて聞いた設問でも同様の結果(「労働時間が長く疲弊している」との回答が40%を超える)が出ており、ワークライフバランスの実現にはまだ程遠い現状が明らかになりました。

あなたの職場では、仕事のために家庭や私生活を犠牲にしている人が多い?

また、労働時間の長さや家庭や私生活を犠牲にする働き方や職場が、個人の離職意向にもたらす影響をみると、「仕事のために家庭や私生活を犠牲にする人が多い職場で働いている」という回答者の内73%は、「転職を考えることがある(あてはまる)」と回答しました。

あなたは、転職を考えることがある?

他の回答に比べると、ワークライフバランスが崩れている職場では、社員の離職率も高いものと推察できます。

人材を引き止めておくためにも、ワークライフバランスや残業問題への取り組みが重要であることが確認されました。

「上司や経営者の率先垂範度」が、組織の成果や業績に対して強い影響を持つ

「成果をあげている組織」の特徴を分析したところ、12個の要素が明らかになりました。

その中で最も影響度の強い要素が「上司や経営者の率先垂範度合」を示す指標でした(因子の抽出に因子分析、有効指標の抽出に重回帰分析を用いた)。

上司の率先垂範度に関する設問「あなたの職場では、上位職者は言葉だけでなく、自ら率先して行動し模範を示している」に対して肯定的な回答者(「あてはまる」、「どちらかといえばあてはまる」の合計)のうち58%は、「会社の成果・業績が同業他社と比較してよい」と回答しました。

一方、否定的な回答者(「あてはまらない」、「どちらかとえいばあてはまらない」の合計)のうち63%は「成果・業績が比較してよくはない」と回答しました。

上司が、言葉だけでなく自ら率先して行動で模範を示す事が、同業他社等と比較して高い成果や業績をあげる組織の特徴となっているようです。

会社の成果や業績は、同業他社に比べてよいほうである?

「経営者の率先垂範行動」について聞いた設問の結果もほぼ同様の傾向を示しました。

このことから経営者や上司が率先して行動することで、目標や方針が従業員へ浸透し、それが成果や業績に結びつくのではないかと考えられます。

成果・業績をあげている組織の特徴として、組織の「コンプライアンス度」が有意に高い

「コンプライアンス度」について、以下二つの設問を通じて聞いた結果、コンプライアンスに対する職場の意識が、組織としての成果にも影響していることがわかりました。

  • 社内ルールや法令遵守に対する意識が高い
  • 結果がよければ、多少の違反は許容される雰囲気がある(逆説設問)

また同設問では、勤務先の組織規模により有意な差異が見られました。

「職場の法令順守意識が高い(「あてはまる」、「どちらかといえばあてはまる」の合計)」という回答は、東証一部・二部上場勤務者の場合、53%、従業員規模1000人以上組織勤務者の場合54%でした。

一方、新興市場上場企業では35%、従業員規模50名未満の企業では27%に留まりました。

あなたの職場は、社内ルールや法令遵守に対する意識が高い?

以下は設問「結果がよければ、多少の違反は許容される雰囲気がある(逆説設問)」の回答結果です。

東証一部・二部上場の場合45%、従業員規模1000人以上の組織の場合53%が、該当しない(「あてはまらない」、「どちらかといえばあてはまらない」の合計)」と答えました。

一方で、新興市場上場企業では31%、従業員規模50名未満の企業では35%に留まりました。

あなたの職場では、結果がよければ、多少の違反は許容される雰囲気がある?

ベンチャー企業や中小企業では、コンプライアンスに対する意識や取組みが遅れていることが伺えます。

更なる成長を目指すために後回しになっているという側面と、投資余力が乏しい(各種規定や制度設定、浸透に対する投資余力が大企業ほど高くはない)ことが背景として考えられます。

不祥事発生により、企業が受ける影響度が増大傾向にある昨今(市場撤退を余儀なくされる場合も)、中小企業にとってコンプライアンスへの取り組みや意識向上が、大きな課題と考えられます。

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